こんにちは、院長の宮脇大です。

前回の「私自身がCPAPを試してみた話」を読んでくださった方から、「先生はSASを長く診てきたんですね」という声をいただきました。

「どれくらい診てきたんですか?」と聞かれると、正確には数えていないんですが・・気がつけばずいぶん長くなったなあ、と思います。

今日は少し立ち止まって、これまでの診療経験を振り返ってみようと思います。

「何が変わったか」「何が変わっていないか」という話です。


「いびきで病院に来る」こと自体が珍しかった時代

私がSASの診療を始めた頃は、「いびきが気になって病院に来ました」という患者さんは、ほとんどいませんでした。

来るのは、パートナーや家族に「連れてこられた」方がほとんどでした。

「先生、うちの旦那のいびきが本当にひどくて・・」というパターンです。

そして旦那さん本人は「なんで俺が病院に来なきゃいけないの??」という顔をしている(笑)

当時の一般認識は「いびき=体質」「太っているからしょうがない」という感じで、「病気として診てもらう」という発想がまだ広まっていなかったんですね。

SASが日本の睡眠学会や内科学会でガイドラインとして整備されはじめたのも、2000年代に入ってからです。

今思えば、私がちょうどその黎明期にこの診療に関わりはじめたのは、貴重なタイミングだったと思っています。


初めてCPAPで「変わった」患者さんのこと

CPAPを初めて導入した患者さんのことは、今でも覚えています。

中年男性で、AHIがかなり高く、日中の眠気もひどくて。運転中に何度もヒヤリとしたことがある、と話していました。

CPAPを始めて1ヶ月後に来院したとき、顔つきが変わっていたんです。

目が明るくなっているというか、表情に活気が戻っているというか。

「先生、目が覚めた感じっていうのが、こういうことだったんですね」と言われて。

正直、「この機械はすごい」と思いました。

お世辞ではなく、本当にそう感じた瞬間でした。

以来、CPAPには特別な信頼を持っています。


それでも「続かない人」が多かった

CPAPは効果がある。それは間違いない。

でも当時は、「続けられない人」が本当に多かったんですね。

最初の1ヶ月は使っていても、だんだん使わなくなる。マスクが不快で、気づいたら外している。「やっぱり無理だった・・」と来院が途絶える。

「病院から遠い」という問題もありました。

月1回の定期受診のために、片道1時間以上かけて来てくださっている方もいた。

仕事が忙しい、子育てで時間がない・・そういう理由で受診が遅れて、気づいたらCPAPの使い方がずれていた、というケースも多かった。

「効果がないわけじゃない。続けられないことが問題だ」

これが当時から気になっていた課題でした。

なぜCPAP外来をオンラインにしたのか — 院長・宮脇が語るにも書きましたが、この問題意識がのちにオンライン診療に繋がっていくことになります。


「早く来てくれれば」と思った場面が何度もあった

正直悔しかったことが何度もあります。

「もっと早く来てくれていれば」という患者さんに会うことです。

SASを放置して、狭心症が進んでいた方。高血圧がずっとコントロールできなくて、実はSASが原因だったと後から判明した方。

突然の脳血管障害で倒れた方の家族から「夫がよくいびきをかいていました」と聞かされた、ということも。

SASは「眠れていないだけ」の問題じゃないんです。

心臓や血管に、じわじわとダメージを与え続ける病気です。

放置するとこわい睡眠時無呼吸症候群 — 心筋梗塞・脳卒中・突然死との意外な関係に詳しく書いていますが、SASを治療することで心血管リスクが下がるというエビデンスは今や積み重なっています。

でも、そのことを患者さんに伝えられるのは、来てもらって初めてできることです。

「いびきがひどいとは思っていたけど、病院に行くまでのことかなって思って・・」

この言葉を何度聞いたかわかりません。

行くまでのことなんです。本当に、行くまでのことです。


テクノロジーが診療の質を変えた

この数年で、劇的に変わったことがあります。

それは「データがリアルタイムで見えるようになった」ことです。

最近のCPAPは、使用中のデータをクラウドに自動で送信します。

使用時間、治療中のAHI(無呼吸・低呼吸指数)、空気の漏れ、圧力設定。これが毎日、私の端末から確認できる。

以前は「先月はどうでしたか?」と患者さんに聞くしかなかったんですね。

「まあ、なんとか使えています」「途中で外しちゃったこともあります」という話を聞きながら、状態を推測していた。

でも今は、患者さんが来院しなくても、毎日のデータが手元にある。

「先週の木曜日、空気の漏れが多かったですね。マスクのフィッティングを少し見直しましょうか」

こういう話ができるようになった。

「先生、なんでそんなことわかるんですか??」と驚かれることもあります(笑)

でも、これが今の医療の現実なんですね。

以前の「月1回の診察だけで判断する」時代と比べると、患者さんにとっても、医師にとっても、格段に良い状態になったと思います。


「いびきくらいで」という言葉

診療していてよく聞く言葉を挙げるとしたら、「いびきくらいで病院に来るのは大げさかなって思って」という言葉です。

これは今でも毎日のように聞きます。

全然大げさじゃないんですよ・・。

SASは人口の3〜4%が中等症以上を抱えているというデータがあります。日本で言えば数百万人規模。

でも実際に診断・治療を受けているのは、そのうちの一部です。

「検査って大変そう」「仕事が忙しくて」「病院に行く時間がなくて」

その気持ちはよくわかります。

でも今は、自宅で1晩検査キットをつけるだけでSASかどうかわかる時代です。

いびきや日中の眠気が気になる方へ — 自宅でできるSASの検査に書いているように、検査のハードルは本当に下がっています。

「普通の風邪で病院に行くのと同じくらいの感覚で相談してほしい」

それが、ずっと変わらない私の気持ちです。


Doctor’s Fitness 診療所では

これまでの診療経験で積み上げてきた「こういう形なら続けてもらえる」という設計を、当院のオンライン診療に活かしています。

  • 検査:自宅でできる簡易キット(アプノモニター)で1晩
  • 診断・結果説明:オンラインで完結
  • CPAP適用の場合:最初の2回だけ対面診療、その後は毎日のクラウドデータを確認しながらオンラインで管理
  • 機器のセットアップ:CPAPメーカーが対応

「以前CPAPを処方されたけど続けられなかった」という経験がある方にも、ぜひ一度ご相談いただきたいと思っています。

以前と今では、フォロー体制がかなり変わっています。


最後に

「変わったもの、変わらないもの」を書くつもりだったのに、気づいたらかなり長くなってしまいました(笑)

まとめるとこんな感じです。

変わったこと:機械の精度、データの見える化、オンライン診療、検査のアクセスのしやすさ

変わらないこと:「早く来てくれれば」という気持ちと、「いびきくらいで・・」という患者さんの言葉

この「変わらないこと」の部分を少しでも変えていきたいな、とずっと思い続けています。

「いびきが気になる」「日中ずっと眠い」「パートナーに呼吸が止まっていると言われた」

そういう方は、ぜひ一度ご相談ください。


「ちょっと相談してみようかな」と感じた方は、ぜひLINEからお気軽にどうぞ。 「ブログを読みました」と一言添えていただければ、私が直接対応します。

検査を受けるかどうかは、お話ししてから決めていただけますので、 まずは気軽に、ということを大事にしています。


それでは、また!

次回は「SASと仕事のパフォーマンス」についてお話しする予定です。集中力・判断力・ミスの増加・・。実はSASは、日中の「仕事の質」にも影響しているんですよ・・。


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