こんにちは、院長の宮脇大です。

私はもともと循環器内科の医師として、心臓や血管の病気を診てきました。 心筋梗塞や心不全、不整脈の患者さんを、たくさん診療してきたんですね。

その中で、年々強く感じていることがあるんです。

それは・・

「心血管疾患の患者さんの背景に、SAS(睡眠時無呼吸症候群)が隠れていることが、本当に多い」

ということ。

逆に言うと、

SASをきちんと治療していれば、心筋梗塞や脳卒中を防げたかもしれない

そういうケースも、少なくないんです。

今日は、「いびきくらいで・・」と思っている方にこそ読んでほしい、 SASと心血管疾患の関係について、医師の視点からお話ししてみますね。

なぜSASが心臓や血管に悪いのか

まず、メカニズムから。

SASの方は、寝ている間に何度も呼吸が止まります。 呼吸が止まるということは、体に酸素が行き渡らなくなるということ。

すると、体は「ピンチ!」と感じて、

  • 血圧を上げる(無理やり酸素を送ろうとする)
  • 心拍を速くする
  • 交感神経を活性化する(戦闘モードになる)

こういう反応が起きます。

これが、一晩に何十回〜何百回も繰り返されるんです。

寝ている間に・・ですよ。 休まるべき時間に、体は戦闘モードを繰り返している。

これが何年も続くと、

  • 血管が傷んでくる
  • 心臓が疲弊してくる
  • 自律神経のバランスが崩れる

こうなって、心血管疾患のリスクが跳ね上がるんですね。

高血圧との深い関係

実は、SASは高血圧の重要な原因のひとつなんです。

特に、

  • 朝の血圧が高い(早朝高血圧)
  • 薬を3種類以上使ってもコントロールしにくい(治療抵抗性高血圧)

こういうタイプの高血圧の方では、30〜50%にSASがあると言われています。

「血圧の薬を飲んでも下がらない・・」 「夜中や朝方の血圧が異常に高い・・」

そんな方は、SASを疑ったほうがいい、というのが私の経験則です。

そして面白いことに、

CPAP治療を始めると、降圧薬を減らせる方が結構いらっしゃるんです。

血圧の薬を一生飲み続けるはずが、 SAS治療で減薬・卒薬できることもある、ということですね。

心筋梗塞・狭心症のリスク

冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)のリスクは、

SASがない方と比べて、重症SASの方では約2〜3倍

と報告されています。

「2倍」って、けっこうな数字ですよね・・。

しかも、無呼吸が起きている瞬間というのは、心臓に大きな負担がかかる瞬間でもあります。 夜間〜早朝に心筋梗塞が起こりやすいことが知られていますが、 これにSASが関わっているケースも、決して少なくないんです。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリスク

脳卒中も同様に、重症SASでリスクが約2〜3倍になります。

私が外来で診ていて思うのは、

「脳梗塞をやって倒れた方が、後から検査したらSASだった」

というパターンが、本当に多いんですね。

倒れる前に気づけていれば・・と思うことが、何度もありました。

不整脈・心房細動

最近、特に注目されているのが心房細動との関係です。

心房細動は、心臓の上の部屋(心房)が小刻みに震える不整脈で、 脳梗塞の重要な原因のひとつ。

実は、

心房細動の方の約50%にSASがある

とも言われていて、しかも、

SASを治療すると、心房細動の再発が減る

というデータも出てきています。

不整脈で悩んでいる方も、SASのチェックをぜひ考えてほしいんです。

突然死のリスク

「睡眠中の突然死」というのは、ニュースなどでも時々耳にしますよね。

実は、

重症SASを放置している方では、突然死のリスクが約2〜3倍に上昇する

という報告があります。

夜間〜早朝の突然死は、SASが背景にあるケースが少なくないんです。

ご家族から「呼吸が止まっている」と言われたことがある方は、 本当に、検査だけでも受けてみてほしいんです。

糖尿病・脂質異常症との関係

SASは、心血管系だけでなく、代謝にも悪影響を及ぼします。

  • 糖尿病のリスク増加
  • インスリン抵抗性の悪化
  • 中性脂肪の上昇
  • 内臓脂肪の蓄積

「健診で代謝系の数字が悪いな・・」という方も、 背景にSASがある可能性を考えてみる価値があります。

ここで、希望のある話を

ここまで読むと、「こわい話ばっかりだ・・」と感じるかもしれません。

でも、お伝えしたいのは、ここからが大事なんです。

SASは、適切に治療すればこれらのリスクを大きく下げられる病気なんです。

CPAPで治療を続けた方は、

  • 血圧が下がる
  • 心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中など)の発生率が下がる
  • 不整脈が減る
  • 糖尿病のコントロールが良くなる
  • 死亡率が下がる

こういった効果が、たくさんの研究で示されています。

「気づいて、治療する」

これだけで、未来が変わるんです。

私が外来で伝え続けていること

「いびきは、体からのサインです」

これ、私が外来でよくお伝えしている言葉です。

家族が指摘してくれる「いびき」「無呼吸」は、 体からの大切なメッセージなんですね。

それを、

「年齢のせい」 「太ってるから仕方ない」 「いびきくらい誰でもかく」

と片付けてしまうのは、本当にもったいない。

特に、

  • 高血圧を指摘されている
  • 糖尿病・脂質異常症がある
  • ご家族から「呼吸が止まっている」と言われたことがある
  • 強い日中の眠気がある

こういう方は、ぜひ一度、SASの検査を考えてみてください。

検査自体は、自宅で1晩センサーをつけて寝るだけです。 自宅でできるSASの検査 — まずはここからに詳しく書いていますので、よかったら読んでみてくださいね。

Doctor’s Fitness 診療所では

私は循環器内科医でもあるので、SASを診断したら終わり、ではありません。

  • 高血圧との関係を見ながら血圧コントロール
  • 心血管リスクの評価
  • 必要に応じて専門医へのご紹介

こういった、循環器の視点を持ったSAS診療を心がけています。

検査・診断はオンラインで完結。CPAPが必要となった場合も、最初の2回だけ対面で、その後はオンライン診療に切り替えられます。 お気軽にLINEからご相談ください。

「ブログを読みました」と一言添えていただければ、私が直接対応します。


今日のお話は、少し重めの内容になってしまいました。

でも、伝えたかったのは、「こわい」ということではなくて、

「気づければ、治療できる病気だから、見過ごさないでほしい」

ということなんです。

ご自身のため、そしてご家族のため、 ぜひ一歩踏み出してみてくださいね。

次回は、「SASの診療がオンラインで完結する時代に」というテーマで お話ししてみようと思います。

それでは、また!

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