こんにちは、院長の宮脇大です。
今日はちょっと恥ずかしい話をします・・。
前回「次回はCPAPを自分で試してみた話をします」と予告したので、ちゃんとお話しします(笑)
私自身が、CPAPを使ってみた話です。
「処方する側の医師が、なんで自分でCPAPを??」と思いますよね。
実は、ちょっとしたきっかけがありまして。
きっかけは「妻の一言」だった
数年前のことです。
ある朝、妻から言われました。
「最近いびきがすごいよ。呼吸が止まってることもある気がして・・ちょっと怖かった」
・・・正直、「またそれか」と思いました(笑)
以前からたまに言われていたんですが、「自分はそんなにひどくない」と思っていたんです。
仕事上、毎日SASの患者さんを診ている。自分の体のことはわかっている。
そういう(根拠のない)自信がありました・・。
でも「呼吸が止まっていた気がした」という言葉は初めてで、さすがに気になりまして。
「だったら自分で調べてみようか」と。
自分でアプノモニターをつけてみた
当院ではSASの簡易検査に「アプノモニター」を使っています。
指先にパルスオキシメーターをつけて、鼻に検知センサーを装着して1晩寝るだけ。
患者さんには「これで大丈夫ですよ」と説明してきたわけですが、自分でやるのは初めてでした。
つけてみると・・なかなか違和感がありますね。
指先のセンサーは気にならないんですが、鼻のフローセンサーが意外と存在感があって。「こんなもの付けて眠れるのかな・・」と思いながら横になりました。
こんないびき・眠気は要注意 — SASセルフチェック10項目にも書いていますが、私自身、日中の眠気というのはそれほど強く感じていなくて。「仕事が忙しいから眠いだけ」だと思っていました。
翌朝、結果を確認してみると。
AHIが中等症の範囲に入っていました。
正直、ちょっとびっくりしました。
「まさか自分が・・」という気持ちが半分、「やっぱり妻の言う通りだったか・・」という気持ちが半分でした(笑)
さらに精密検査(PSG)を受けてみた
簡易検査の結果が気になったので、きちんと精密検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフ)を受けることにしました。
PSGは睡眠専門の施設で、睡眠中の脳波・眼球運動・筋電図・呼吸・血中酸素飽和度などを一晩かけて記録する本格的な検査です。
「自分が患者として検査を受ける側になる」というのは、なかなか新鮮な体験でした。
検査着を着て、センサーをたくさんつけて、知らない場所で1晩寝る。「これが患者さんの体験か・・」と思いながら横になりました。
結果は、やはり中等症のSASが確定。
CPAPが適応となりました。
最初の夜 — 率直に言います
CPAPを実際に使いはじめての1晩目。
率直に言います。
全然眠れませんでした(笑)
マスクを装着したとたん、「フー」と空気が流れてくる。これがなんとも慣れない。
「吸おうとするタイミングと、空気が来るタイミングが合わない気がする」
「マスクが顔に当たる感覚が気になる」
「なんか圧迫感がある・・」
患者さんからよく聞く訴えを、そのまま自分が体験していました(笑)
「あ、これか・・」と思いましたね。
診察室で「最初はちょっと慣れが必要ですよ」と言ってきた言葉が、急に体に入ってきた感じがしました。
3日目から変わってきた
最初の1〜2日は、寝ている途中でマスクを外してしまいました。
「これは無理かも・・」と思いました。
でも、3日目から変化がありました。
マスクをつけたまま、気づいたら朝になっていた。
4日目、5日目と続けると、「あれ、なんか寝起きが違う気がする」という感覚が出てきました。
起き上がったときの頭の重さがない。
朝から頭がわりと「スッキリしている」という感じ。
以前は「朝は強くないほうだ」「どうせ仕事が忙しいから疲れているんだ」と思っていましたが、実はSASのせいで睡眠の質が落ちていたのかもしれない。
「この感覚の変化を、患者さんも体験しているんだ」と思うと、なんか嬉しいような、申し訳ないような気持ちになりました(笑)
医師として気づいたこと
このCPAP体験を通じて、改めて気づいたことがいくつかあります。
「最初の慣れない時期」を体で理解できた
患者さんから「マスクが苦手で・・」と言われたとき、以前は「もう少し続けてみてください」と言っていました。
でも今は、「最初の2〜3日がいちばんしんどい。そこを越えると変わりますよ」と、より具体的に伝えられるようになった気がします。
「大丈夫ですよ」という言葉の重みが、少し変わった気がしています。
「自分は大丈夫」という思い込みの危うさ
私はSASを毎日診ている医師です。SASのリスクも、症状も、検査方法も知っている。
それでも「自分は大丈夫」と思っていた。
患者さんが「まさか自分が・・」と言うときの気持ちが、ようやく体感として理解できた気がします。
SASの厄介なところは、自覚症状が乏しいことです。
いびきをかいていても、本人は気づかない。呼吸が止まっていても、寝ているから覚えていない。「睡眠の質が悪い」状態に慣れてしまうと、それが「普通」になってしまう。
放置するとこわい睡眠時無呼吸症候群 — 心筋梗塞・脳卒中・突然死との意外な関係にも書きましたが、SASは自覚しにくいまま心臓や血管にじわじわとダメージを与えていく病気です。「自分は大丈夫」という判断は、なかなか信用できないんですよね・・。
だからこそ、パートナーや家族からの「呼吸が止まっている気がした」という言葉は、本当に大切なサインだと改めて思いました。
Doctor’s Fitness 診療所では
「CPAP、使えるか不安で・・」という方は、本当にたくさんいらっしゃいます。
私自身の経験から言えることは、最初の3日間が山場ということです。
そこを過ぎると、多くの方が「つけないと逆に落ち着かない」という感覚になってきます。慣れてしまえば、眠る前に歯を磨くのと同じ感覚になる方が多いです。
当院では、CPAP開始後のフォローアップをしっかり行っています。最初の2回は対面で状態を確認して、マスクのフィッティングや設定の調整も行います。その後は、CPAPのクラウドデータを毎日確認しながら、オンラインで経過を管理します。
CPAPを続けるコツについては、CPAPがしんどい・続かない方へ — マスクの選び方・慣れ方のコツを医師が解説もご覧ください。
「まずSASかどうか調べたい」という方、「自分も当てはまるか不安・・」という方は、LINEからご相談ください。自宅でできる簡易検査の流れをご説明します。
最後に
患者さんの中には、「先生はCPAPを使ったことあるんですか?」と聞いてくださる方もいます。
「ありますよ」と答えると、なんか少し安心してもらえる気がします(笑)
医師として「大丈夫ですよ」と伝えることは大切ですが、自分が体験した「大丈夫」には、また少し違う重みがある気がしています。
「処方する前に自分で試してみた」という体験が、少しでも診療に活かせているといいなと思っています。
ちょっと恥ずかしい話でしたが、お付き合いいただいてありがとうございました(笑)
それでは、また!
次回は「SAS診療の現場で見えてきたこと」についてお話しする予定です。長年SASの診療に携わってきた中で気づいたこと、感じてきたことを語ってみようと思います。
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