こんにちは、院長の宮脇大です。
「先生、寝る前に一杯飲むと、よく眠れる気がするんですよ」 「飲み会の翌朝、家族から『いびきがすごかった』って言われて・・」
いびきとお酒、実はかなり深い関係があるんです。
そして、
「寝る前のお酒は、よく眠れる」
これ、半分は本当で、半分は誤解なんですね。
今日は、お酒といびきの関係について、循環器内科医の視点でお話ししてみますね。
なぜお酒を飲むといびきが大きくなるのか
寝酒を飲んだ夜、家族から「いつもよりいびきがうるさかった」と言われた経験、ありませんか?
これには、ちゃんとした理由があるんです。
アルコールには、
- 筋肉を緩める作用
- 呼吸中枢を抑制する作用
この2つがあります。
寝ているときは、もともと喉の周りの筋肉が緩んで、気道が狭くなりやすい状態。 そこにアルコールが加わると、
喉の筋肉が普段以上にダラーンと緩む
→ 気道がさらに狭くなる → 空気の通り道が振動しやすくなる → 大きないびきになる
しかも、アルコールは呼吸中枢の働きも鈍くするので、
→ 無呼吸が起きても、体が「ピンチ!」と気づきにくい → 無呼吸が長く続く → 酸素が下がる時間が増える
こんな悪影響があるんです。
「寝酒で眠れる」は、本当の眠りじゃない
「お酒を飲むと、すぐ寝られる」
確かに、寝つきは良くなります。 これは、アルコールに脳を麻痺させる効果があるからなんですね。
でも、それは「眠っている」のではなく、「気絶している」に近い状態なんです。
実際、お酒を飲んだ夜の睡眠は、
- 深い睡眠(ノンレム睡眠の3・4段階)が減る
- レム睡眠も乱れる
- 夜中の中途覚醒が増える
- 朝早くに目が覚めてしまう
- 起きても疲労感が残る
こういった特徴があります。
つまり、
寝つきは良くなるけど、睡眠の質はガクッと落ちる
これが、寝酒の正体なんです。
SASがある方にとって、寝酒は特に危険
ここからが、SASをお持ちの方に、特にお伝えしたい話です。
健康な方でも、寝酒で無呼吸が増えることが分かっています。 ましてや、もともとSASがある方が寝酒を飲むと、
- 無呼吸の回数が増える
- 無呼吸の時間が長くなる
- 酸素が下がる程度が大きくなる
つまり、いつもより重症化した状態の夜を過ごすことになるんです。
特に怖いのが、
- 飲酒後の心血管イベント(早朝の心筋梗塞・脳卒中)
- 不整脈の誘発(特に心房細動)
- 突然死のリスク上昇
寝酒は、SASの方の体に夜間ストレスを集中的にかける行為だと言っても、言い過ぎではないんですね。
「適量なら大丈夫?」の答え
「いや、毎日浴びるほど飲んでるわけじゃないし・・」
そう思われる方も多いと思います。
正直なところ、
「絶対ゼロにしてください」とは言いません。
ただ、SASをお持ちの方には、せめてこれだけは守ってほしいんです。
寝る前3〜4時間は飲酒しない
アルコールは、肝臓で分解されるまでに時間がかかります。 代謝が終わる前に寝てしまうと、寝ている間ずっとアルコールの影響下に置かれてしまうんですね。
夕食時のお酒はOK、でも寝る前のもう一杯はNG。
このくらいの心積もりが、ちょうどいいかと思います。
量は「ほろ酔い」までに
ベロベロになるほど飲むと、いびき・無呼吸への影響は格段に大きくなります。 日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯くらいまでが、目安です。
飲み会の日は、いつもより警戒を
「今夜は飲み会だな」という日は、
- 寝る時間を遅らせて、アルコールが抜けてから寝る
- お水もしっかり飲んでおく
- 寝る前にCPAP(使っている方は)を必ず装着
こういった意識を持っていただけたら、と思います。
「やめたいけど、やめられない」という方へ
外来でこんなお話を伺うことがあります。
「先生、寝酒の習慣がやめられなくて・・」 「お酒なしだと、なかなか眠れないんです」
実は、この背景にもSASが隠れていることが多いんです。
未治療のSASがあると、
- そもそも睡眠の質が悪い
- ぐっすり眠れない不快感を、お酒で紛らわせている
- でも、お酒を飲むと、もっと睡眠が悪化する
こんな悪循環に陥っているケース、少なくないんですね。
そして、CPAPで治療を始めると、
「あれ、CPAPだけで、こんなに眠れるんだ」 「お酒なしでも、ぐっすり眠れる」
という体感に変わって、自然と寝酒が減っていく方が多いんです。
「お酒を断つ」より「睡眠の質を上げて、お酒に頼らなくていい体にする」
こちらの方向から攻めていく方が、続けやすいかもしれません。
朝のすっきり感、覚えていますか?
お酒なしでぐっすり眠った朝、覚えていますか?
「子どものころ以来、こんな感覚なかった」
CPAPを始めた患者さんから、こういう感想をよくいただきます。
寝酒で無理やり気絶するのではなく、 体が自然に深い眠りに入って、自然に目覚める。
そういう睡眠を、ぜひ取り戻してほしいんです。
Doctor’s Fitness 診療所では
「お酒なしでも眠れる体を作りたい」 「健診で肝機能も悪いし、いびきも気になる」 「飲酒後のいびきが、本当にひどいらしい」
こんな方は、ぜひ一度SASの検査を考えてみてください。
検査は自宅で1晩、センサーをつけて寝るだけです。 自宅でできるSASの検査 — まずはここからに詳しく書いています。
セルフチェックはこんないびき・眠気は要注意、 減量とSASの関係については体重を減らすといびきは消える?も参考になると思います。
検査・診断はオンラインで完結。 CPAP治療が必要になっても、最初の2回だけ対面で、その後はオンライン診療に切り替え可能です。
「ブログを読みました」と一言添えていただければ、LINEで私が直接対応します。
寝酒は、「眠りを良くする」ためのものではなく、「眠りを悪くする」もの。
これだけは、ぜひ知っておいてください。
そして、もしお酒に頼らないと眠れない夜が続いているなら、 それは体からの「ちょっと検査してみない?」というサインかもしれません。
次回は、「横向き寝はいびきに本当に効くのか?— 寝姿勢とSAS」について お話ししてみようと思います。
それでは、また!
#お酒 #寝酒 #いびき #SAS #睡眠時無呼吸症候群