こんにちは、院長の宮脇大です。
「先生、マウスピースとCPAP、どっちがいいんですか?」
これも、外来でよくお聞きする質問のひとつです。
検査でSASと診断されると、治療の選択肢として、
- CPAP(シーパップ)
- マウスピース(口腔内装置)
この2つが提案されることが多いんですね。
「機械をつけるのは大変そう・・」 「マウスピースなら歯医者さんでもらえるんですよね?」 「どっちが効くの?」
迷われる気持ち、すごく分かります。
今日は、この2つの治療法をフラットに比較して、 ご自身に合うのはどちらか、判断のヒントをお伝えしてみますね。
まず結論から
最初に、ざっくりとした結論をお伝えしておきます。
- 重症の方 → CPAPが第一選択
- 軽症〜中等症で、CPAPが合わない方 → マウスピースが選択肢になる
- 保険適用の有無 → どちらも保険適用はありますが、条件が異なる
ただ、これだけだと納得しにくいと思うので、それぞれの特徴を順番にお話ししていきますね。
CPAPってどんな治療?
CPAPは、寝ている間に鼻に装着するマスクから、空気を持続的に送り込む機械です。
その空気の圧力で、喉の気道を内側から押し広げて、無呼吸を防ぐんですね。
特徴としては、
- 効果が確実で大きい — 重症の方でもしっかり効く
- データで効果が見える — 毎日の使用状況・治療下AHIが数字で分かる
- 保険適用 — 月々4,500〜5,000円程度(3割負担)
- 継続前提 — 原則として毎晩使用する
CPAPの詳しい話はCPAPって何?保険適用の条件・費用・効果にまとめていますので、よかったらどうぞ。
マウスピース(口腔内装置)ってどんな治療?
マウスピース、正式には口腔内装置(OA:Oral Appliance)と呼ばれます。
歯科で型を取って作る、オーダーメイドの装置です。 寝るときに口の中に装着して、
下顎を少し前に出した状態で固定する
これが基本の仕組みです。
下顎が前に出ると、舌の付け根も一緒に前に動きます。 すると喉の奥の気道が広がって、無呼吸が起きにくくなるんですね。
特徴としては、
- コンパクトで持ち運びやすい — 出張・旅行に便利
- 電源不要・静か — パートナーにも優しい
- 慣れやすい — CPAPより違和感が少ない方が多い
- 保険適用 — 軽症〜中等症のSASで条件付き
- 歯科で作製 — 医科の診断書を持参して歯科を受診
比較表でまとめてみます
ざっくり比較するとこんな感じです。
| 項目 | CPAP | マウスピース |
|---|---|---|
| 効果の強さ | 強い(重症でも対応) | 中程度(軽症〜中等症向き) |
| 装着感 | 慣れに個人差あり | 比較的慣れやすい |
| 持ち運び | やや大きい | コンパクト |
| 電源 | 必要 | 不要 |
| 静音性 | 静か(最近の機種) | 完全無音 |
| 効果の見える化 | 可能(クラウド連携) | 自覚症状ベース |
| 保険適用条件 | AHI 20以上(PSG)/ 40以上(簡易) | 軽症〜中等症で医科の診断書が必要 |
| 月々の費用(3割負担) | 約4,500〜5,000円 | 装置作製時に1〜2万円程度(その後の費用は少額) |
| 通院頻度 | 月1回(定期診察) | 装置作製後は数ヶ月〜年1回程度 |
ではどちらを選ぶ?判断のポイント
CPAPが向いている方
- 重症SAS(AHI 30以上)の方
- 心血管疾患のリスクが高い方
- 強い眠気や集中力低下があり、症状をしっかり改善したい方
- 治療効果をデータで確認しながら進めたい方
マウスピースが向いている方
- 軽症〜中等症SAS(AHI 5〜20程度)の方
- 出張や旅行が多い方
- CPAPを試したけれど、どうしても続けられなかった方
- 電源やマスクの違和感を避けたい方
両方を組み合わせるケースも
意外と知られていないんですが、
- 平日はCPAP、出張や旅行のときだけマウスピース
- CPAPに慣れるまでの繋ぎとしてマウスピース
こういった併用パターンもあります。 治療は継続できてこそ意味があるので、ご自身のライフスタイルに合わせて柔軟に選ぶのが大事です。
マウスピースの限界も知っておいてほしい
マウスピース、メリットも多いんですが、正直に限界もお伝えしておきますね。
- 重症SASでは効果が不十分なことが多い — CPAPの代わりにはならないケースが多い
- 歯や顎に違和感が出ることがある — 慣れない方も一定数いる
- 歯の形やかみ合わせによっては作れない — 歯科でのチェックが必要
- 効果の確認が難しい — CPAPのようにデータが見えない
特に、
「重症なのにマウスピースだけで済ませる」
というのは、心血管リスクの観点からおすすめできません。 重症の方には、しっかりCPAPで治療していただくのが、医師としての本心です。
Doctor’s Fitness 診療所での対応
Doctor’s Fitness 診療所では、SASの検査・診断・CPAP治療をオンラインで行っています。
ただし、マウスピースの作製自体は歯科の領域なので、当院では行いません。
マウスピースをご希望の場合の流れは、
- 当院でSASの検査・診断(オンライン)
- 医師の診断書および紹介状を作成
- 歯科(マウスピース対応の医院)を受診
- 歯科で型取り・装置作製
という形になります。 ご希望の方には、診断書および紹介状の作成は対応できますので、ご相談ください。
CPAPの場合は、当院だけで完結します(最初の2回は対面、3回目以降オンライン)。 詳しくはSASの診療がオンラインで完結する時代にをご覧ください。
どちらを選ぶか迷ったら
最後に、これだけはお伝えさせてください。
まずは検査を受けて、自分のSAS重症度を知ること。
ここがすべてのスタートです。
「軽症のつもりだったら、実は重症だった」 「逆に、軽症だったから、マウスピースで十分だった」
検査を受けないと、適切な治療法は選べないんですね。
検査の詳しい流れは自宅でできるSASの検査 — まずはここから、 セルフチェックはこんないびき・眠気は要注意 にまとめていますので、まだの方はあわせてどうぞ。
「迷っているけど、まず相談だけしたい」という方も、 LINEから気軽にメッセージください。
「ブログを読みました」と一言添えていただければ、私が直接対応します。
検査を受けるかどうか、どの治療を選ぶか、 全部、お話ししてから決めていただけますので。
CPAPもマウスピースも、それぞれに良さがあります。 どちらが優れている、ではなく、自分に合うのはどちらかという視点で選んでいただけたら、と思います。
次回は、「体重を減らすといびきは消える?」というテーマで お話ししてみますね。
それでは、また!
#CPAP #マウスピース #SAS #睡眠時無呼吸症候群 #治療